公文算数H教材のレベルは?
まずは公文全体の中でのH教材の位置づけを確認しましょう。
H教材は中2相当のレベルの教材です。小5のうちに修了すれば高進度学習者として表彰されます。中学での公文の継続が難しい事を考えると、先取り学習を意識する時、ここでの高進度学習者というのはある程度狙いたい所かと思います。
公文算数H教材の構成は?
次に教材全体の構成を確認しましょう。
教材番号 | 内容 |
---|---|
1-20 | Gの復習 |
21-70 | 2元連立方程式 |
71-90 | 3元・4元連立方程式 |
91-110 | 方程式の応用問題 |
111-130 | 単項式・多項式の計算 |
131-140 | 多項式の乗法 |
141-150 | 公式による乗法 |
151-200 | 因数分解 |
G教材の後半から代数計算が登場しましたが、H教材からはほぼ全ての内容が代数計算になっています。
このあたりから内容を聞いても「どんな問題だっけ?」と思う所が多くなってくるので、問題の例も記載しておきます。
2元・3元・4元連立方程式
連立方程式というのは下記のような問題です。
- 2x + 5y = 7 と 3x + 2y = 5 からxとyの値を求めて下さい。
複数の式から、複数の代数の値を求めるのが連立方程式です。式の数が2つなら2元連立方程式、3つなら3元連立方程式です。
基本的には式の数と代数の数が一致しています。ここを認識しておくと、連立方程式の文章題を解く時の手がかりとして大いに役立ちます。
単項式・多項式の計算
単項式・多項式の計算は下記のようなものを指します。
- 3a × 2b =
- a^3 ÷ a^2 =
- (a-2b)(2a+b) =
代数の値を求めるのではなく、代数同士を、これ以上計算できない所まで計算するのがここでのトピックです。代数計算の基本的なルールを習得していく事になります。
因数分解
因数分解は下記のようなものです。
- 9x^2 - 25 =
H教材の代数計算では学習の意味を見失いやすい
G教材の後半から代数計算が出てきました。ただG教材の段階では題材が1次方程式だったため、ギリギリ具体的な例を使っての説明も可能でした。
代数が2つ以上になってくると、即興で分かりやすい文章題を作ってあげる事がだいぶ難しくなってきます。大人でもちゃんと時間を取って考えないと問題は作れませんし、作れても分かりやすく日常の中で触れるような例を出すのは難しいでしょう。
するとここで出てくる問題が、学習に対する意味を見失ってしまうという問題です。
因数分解は「社会で役に立たない知識」の代名詞
因数分解というのは、社会に出てから役に立たない知識の代名詞になっています。先程挙げた例題が社会に出てからどう役立つのか、はっきりした答えを持っている人は多くありません。解き方を忘れている事さえ珍しくないでしょう。
もちろん仕事で因数分解の知識が必要な人はいます。代数計算ではなくても、因数分解的な思考法というのは多くのビジネスマンにとって必要な思考法でしょう。
しかし因数分解というのはあくまで代名詞です。この先にはもっと社会で役に立たない多くの単元が待ち構えています。微分積分やベクトルが社会に出てから役に立つと説明するには、ほとんどの場合無理が出ますよね。無理やり因数分解に意味を見出しても、この先確実に行き詰まる事になります。
この教材で本質的に向き合うべきは、お子さんが勉強をする理由なのです。
勉強を頑張る本質的な意味と向き合う時
お子さんが勉強をする理由を改めて考えてもらうと、恐らく「社会に出てから役立つ知識だから」頑張っているという事はほとんどないのではないかと思います。
どちらかと言えば競争心や承認欲求、報酬や同調圧力、知的好奇心あたりが思い浮かぶのではないでしょうか。
それにもかかわらず因数分解のあたりで「社会で役に立つかどうか」が取り沙汰されるのは、因数分解が役に立たないからではありません。因数分解が難しく、学習が苦しいからです。
お子さんが苦しい時に何をしてほしいのか、親の方が答えを持っておく必要があります。苦しさにさえ耐えられれば、行う計算の処理自体がこれまでと比べ極端に難しい単元ではないはずです。
H教材で本質的な勉強のモチベーションを得ましょう
今回は公文算数のH教材について解説しました。具体的な要素が計算から消滅する段階で、お子さんは自分が勉強する意味を問われる事になります。そしてこうした問いは受験競争がある限り普遍的な問いですから、親も一度は考えた事のあるトピックでしょう。
お子さんが勉強の意味を見つけられるようサポートしていきましょう。
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