公文国語はどこまでやる? 最終教材がベスト。中学受験ならH教材まで進めたいです

国語 受験

  

 中学受験に向けて公文の国語を始めたいです。公文の国語は効果的なのでしょうか?

公文国語は中学受験に留まらず、大学受験まで含めた受験全体の国語を得意科目にするだけの可能性を秘めています。しかしそれだけの恩恵を受けるために求められるものもあります。

 今回は公文国語の効果と中学受験においてどこまで公文国語を進めるべきなのか話していきます。

うまくいけば国語に全く苦労しない受験生活を送れる

 公文国語のポテンシャルを最大限に享受できれば、国語に苦労しない受験生活を送る事ができます。これは中学受験の話だけではなく、高校や大学の受験まで関わる話です。

 公文国語ではI教材(中学3年相当)までで現代文の読解をほとんど終え、高校の教材ではほとんどが古文や漢文を扱います。実際に公文の推薦図書はI教材までしかなく、I教材の最後の推薦図書はトルストイの戦争と平和です。読解の難易度で言ったら最高峰ですよね。公文はI教材を終えれば、少なくとも現代文の読解に必要な力は付いていると考えているのでしょう。

 そしてこの段階で身に付いているのは読解力だけに留まりません。公文ではただ文章を読むだけではなく、要約や抜き出しと言った受験に出てくる形式の問題を解いていきます。必要な読解力だけではなく、問題を解く力も公文で養う事ができます。

大学共通一次試験のような基本を問う問題ならそのまま点数が取れる

 特に基本的な問題を速く解く必要のある試験には絶大な効果を発揮します。最も効果が現れやすいのは大学共通一次試験のような問題でしょう。 

 私自身は公文国語のI教材を終えたあたりまで進みました。公文生としては「そこそこ」と言ったレベルですが、前述の通り現代文の読解については一通りの基礎を身に付けた状態です。

 この後高校2年生の時に、本格的な受験勉強が始まる前に一度センター試験(共通一次試験)を学年全体で解いてみようというイベントがありましたが、現代文ではほぼ満点を取れました。この頃はお恥ずかしながら家庭学習もほぼしていませんでした。純粋に公文国語の力だと言えるでしょう。

 もっと先まで公文を進められれば古文や漢文も読めるようになりますから、最初から満点近い点数を取れるというケースもしばしば目にします。

 中学受験でも相当なレベルの読解問題が出ますが、大学レベルの読解ができれば概ねの問題には対応できるでしょう。そして公文であれば小学生のうちに高校教材まで進む事は十分可能です。小学生のうちに大学受験まで含めて国語に苦労しない基礎力を身に付けられる。公文国語にはそれだけのポテンシャルが秘められています。

中学受験で国語が楽と感じるのはF教材よりもっと先

 一方で中学受験を重視した場合、一つのセオリーとして「小4までに公文をF教材(小6相当)まで終わらせて中学受験塾へ転塾」というものがあります。中学受験塾へ入る前に小学校の範囲を終わらせてしまう事で、受験勉強に余裕を持たせようという作戦です。

 これは算数では一定の効果があります。公文の算数では図形問題を扱いませんが、基本的な計算力という意味では公文でなかなかの力を付ける事ができます。公文では学習習慣も身に付けられますから、低学年のうちにやっておく事には一定のメリットがあります。

 しかし公文国語において、この戦略は限定的な効果しかありません。中学受験の国語において求められるレベルは、公文のF教材よりはるかに高いからです。

 中学受験において出題される文章題の量の目安は3000文字と言われています。しかし公文国語のF教材(小6相当)において一度に扱う文字数は数百文字程度です。F教材を終えたあたりで公文国語を終えても、中学受験の国語には歯が立ちません。意味がないというわけではなく、それだけでは足りないのです。

 文章の難度を見た印象だと、灘中学の国語の問題文の難度はGⅠ教材程度、問題そのものの難しさはHⅠ教材程度と言った所でしょう。語彙に関わる問題は別途対策が必要かもしれませんが、中学受験の国語で余裕を持つならH教材修了あたりが目安になると思います。

H教材を終えられずに転塾する場合も珍しくない

 しかしH教材までたどり着くのはやや難しい部分もあります。公文は数年やっていれば、3学年先に進む人がそこそこいるというレベル感だからです。

 中学受験を意識すると小4が転塾の時期になります。小1や小2から公文を始めていれば、小3の終わりにはF教材修了というのが中学受験を意識する家庭での一つの目安でしょう。しかしH教材を終えるにはさらに2学年先まで進む必要があります。

 公文と言えば成果が分かりやすく出るのは算数です。算数は中学や高校の範囲で習う事が中学受験には役立ちませんから、F教材を終えて転塾というのが定番になっているのでしょう。しかし国語にもこのセオリーを当てはめてしまうと少しうまくいかない部分があります。結果として中途半端な状態で転塾し、公文国語のメリットを得られないまま学習を終えてしまうパターンはよくあるものだと言えるでしょう。

鍵になるのは期間と会話と読書量

 中学受験で十分な読解力を公文から得るためには、F教材では足りないという話をしました。では転塾の時期までにもっと先の教材までたどり着くにはどうしたらいいのでしょうか。

公文の開始時期を早める

 公文の進度は続けた期間に少なからず比例します。

 公文国語では一学年分の教材を進めるために、400枚のプリントを解く必要があります。小1(A教材)から中2(H教材)まで進めようと思ったら3200枚です。しかもそれぞれのプリントは一度だけではなく、二度三度と繰り返して解きます。

 もちろん進みの早い遅いはありますが、これだけのプリントを終わらせるには時間が必要な事が分かるのではないかと思います。逆に公文の教材は段階を追って進んでいくので、時間をかければある程度は進んでいく事ができます。

 さすがに2歳以下では早すぎますが、小学校入学より前に始めるという選択肢は検討する価値があります。公文を続ける期間が長い程、先の教材へ進める確率も高くなります。

転塾の時期を少し延ばす

 これはあまり望ましい選択肢ではありませんが、転塾の時期を伸ばすという考え方もあります。

 中学受験塾への転塾の時期は小4が多いですが、必ずしもみんながみんな小4で入塾するわけではありません。熱心な家では低学年から始めている事もありますし、様々な事情で小5や小6から入塾する家庭もあります。

 公文の方が月謝が安い事も事実です。公文での目標をもう少しで達成できそうという所なら、区切りを付けてから転塾する事も検討していいかもしれません。

公文以外で読解力を高める取り組みをする

 公文国語は国語力を高めるために有効な手段ですが、唯一の手段ではありません。特に有効だと言える他の手段が2つあります。親との会話と読書です。

 親との会話が国語力に関わってくるというのはいろんな所で言われている話です。子供側に合わせた会話ではなく、ニュースや本について大人目線の会話ができると子供の思考力は一気に伸びていきます。単に知的なレベルの高い会話ができるというだけではなく、子供にとって親と対等に会話ができるというのはとても嬉しい事だからです。積極的に成長しようという意欲は何より子供の能力を伸ばしてくれますし、大人との会話はそのまま思考力の成長に繋がってくれます。

 もう一つは読書です。いかに難しい読解問題と言えども、文庫本一冊より長い文章が出題される試験はありません。読書であれば子供が興味を持った分野の本を選ぶ事もできますし、物語であれば始めから終わりまで読む事にこそ楽しみがあります。本を一冊読み通せるというのは何より国語力を高めてくれる事ですし、本好きになれば年に100冊以上の本を読んでくれるでしょう。当然公文や中学受験塾で読む文章量とは桁も違います。点数との繋がりは分かりにくくても、これ以上に国語力を高めてくれるものはないでしょう。

最終的に公文で伸びるのは国語

 公文国語は中学受験に留まらず、大学受験まで含めた総合的な国語力を身に付けさせてくれるだけのポテンシャルを秘めています。算数は単元ごとの繋がりが少ない(例えば微分積分とベクトルと確率はそれぞれほぼ独立しています)のに対し、国語は大学受験レベルの文章が読めれば、小中レベルの文章が読めないという事はまずないからです。

 だから公文国語の最も有効な活用方法は、できるだけ早い段階で最終教材を終えてしまう事です。その上で中学受験だけを考えるのであれば、国語はH教材という所が一つの目安になってくるでしょう。

 公文の進度を高めるのであれば、公文を続ける期間を伸ばすか、公文以外でも国語力を伸ばす取り組みをする事です。親との会話と読書がその有効な手段になります。

 公文では算数が注目される機会が多いですが、先へ進む程国語と英語の恩恵を感じる人が増えてきます。どこまで進めば十分かという考え方ではなく、進めば進むだけ大きなメリットがあるという気持ちで取り組んでいきましょう。

公文の効果をもっとイメージしたい人はこちら

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