公文算数はどこまでやる? 中学受験の有無でゴールが変わってきます

公文 算数

 公文の算数はどこまでやるべきでしょうか。これを考える時に重要になってくるのは中学受験の有無です。今回は公文の算数のゴール設定を行う際の考え方について解説していきます。

公文式の学習において重要な学習期間という要素

 公文算数のゴール設定を行うために最も大切なのは、公文を続ける期間です。なぜなら公文は継続期間が長い程、今の学年より先へ先へと学習を進めていけるからです。

 そして公文の継続期間を大きく左右するのは中学受験の有無です。

 中学受験と公文の両立はほぼ不可能です。中学受験塾の学習量は非常に多い上、公文と学習のベクトルが異なり、同時に学習しても相乗効果が見込めないからです。公文で事前に身につけた基礎をベースに中学受験のアドバンテージを取る事はできても、同時に学習するものではないと考えていいでしょう。

 中学受験塾への入塾は小4の間に行うのが主流です。必然的に小4の間には公文を辞める事になる前提で目標を考える必要があります。

公文式の学習において得られるのは時間

 追加で考慮すべきなのは、公文の先取り学習で得られるものが何なのかという点です。

 公文は基礎を身につけるための教材です。各単元の基本的な部分をしっかりと身につける事ができます。一方で応用力や思考力を鍛える事には主眼が置かれていません。

 応用力や思考力を鍛えるような教材のメリットは、その力が算数という教科の外でも活きる事です。例えば難しい問題に腰を据えて取り組んだ経験は、社会に出てからも、答えの出ないビジネス上の課題へ向き合う時に活きるでしょう。基礎的な問題を解く力を身につけただけでは、その力が算数以外に使えるものにはなりません。

 では今の学年より先の単元の基礎を固めるメリットは何かというと、これは時間的な余裕を得られる事になってきます。シンプルに学校で習う内容を先に学習できるので、実際に学校や塾でその単元を習う時に割くはずだった時間を減らす事ができます。

 この時間の余裕が活きるシチュエーションはどこでしょうか? 受験時です。受験時に算数へ回すはずだった時間を他の教科へ回せるようになる事で、受験全体のアドバンテージを得られるというのが公文のメリットになってきます。

 公文算数のゴール設定も、受験時に時間の余裕を作るという視点で考えるべきでしょう。

中学受験をするならF教材まで学習をしましょう

 これらを踏まえ、中学受験を行う際にはF教材修了まで学習を進めるべきでしょう。

 中学受験の算数という教科において、中学課程の単元は明確に扱われません。代数を使えば楽に解ける問題は出てきても、代数を使って解く事はルール違反になってしまいます。そのためG教材以降の学習を進める事は却って混乱を招く結果になるかもしれないのです。

 一方で受験において最も時間がないのは受験する年です。そのため小6レベルのF教材を終えなければ、時間を得るメリットは限定的になってしまいます。

 小3のうちにF教材を修了するというのが中学受験において良い目標設定でしょう。予定より早く終われば、G教材の前半の負の数に触れておくと間接的に中学受験に活きるかもしれません。

高校受験をするなら最終教材を目指せます

 高校受験においても、基本的には同じ考え方を適用できます。I教材を修了する事で中3の学習範囲を先取りし、受験する年の余裕を作り出す事ができます。

 しかし中学受験を回避している場合、ここで留まるのはもったいないです。なぜなら公文を継続できる期間がはるかに長くなるからです。

 公文は3歳から始められますから、中学受験をする場合には小4になるまでの6年間が公文を続けられる期間になります。これが中学受験をしない場合だと、中2や中3になるまで公文を続けられ、継続可能な期間は10年を超えます。しかも学年が上がる程に理解力は上がりますから、小学校高学年の1年は幼少期の1年よりも進みが良くなります。

 また学力のトップ層は中学受験で中高一貫校に多く流れますから、高校受験の競争はやや厳しさが減ります。住む地方によっては高校の選択肢自体もそれほど多くありません。

 こうなると高校受験の先も視野に入れられます。大学受験を視野に入れ、最終教材であるQ教材を目指すのが選択肢に入ってくるでしょう。

公文算数は最終教材までの学習にメリットの大きい教科です

 高校課程の修了はかなり先にも思えるかもしれません。しかし公文算数は最終教材修了を目指すのに適した教科なのです。

 まず算数は国語と比べ、小中の学年レベルのプリントが半分で済みます。プリントの枚数にして1800枚です。高校に入ってからの教材は算数の方が400枚分多いですが、高校課程を終わらせるだけなら算数はスムーズに進めやすい教科です。

 さらに公文の算数は高校課程までを効率的に学ぶ事を狙いとしています。公文の算数では図形問題をほとんど扱いませんが、これも高校数学が代数計算を主とするためです。高校課程の修了を意図している教材ですから、学ぶ側も同じ所を目指す事で、公文式のメリットを最大限享受できます。

理系の範囲は学習してしまうのが吉です

 少し考慮が必要なのは理系・文系の部分です。公文算数には理系の範囲も含まれるため、文系を選択した時に範囲外の学習をする事になってしまうリスクはあります。

 この点、公文の先生に相談すれば、理系で扱う範囲を除いて学習を進める事もできるかもしれません。しかしいくつかの理由から、公文では理系の範囲も含めて学習してしまうべきだと思います。

文系で扱う範囲が大学受験時に変わる可能性がある

 公文算数で高校課程を学ぶ時には、実際の受験より3年以上前である可能性が高いです。そのため学習時点と受験の時点で、学習単元の区分が変わってしまう可能性が十分あります。

 どの単元が文系だと不要なのか必ずしもはっきりしていない中で、単元を飛ばす事にはリスクが伴います。

お子さんの理系・文系の選択が固まっていない可能性が高い

 同じく学習のタイミングが早いために、理系・文系の選択がお子さんの中で固まっていない可能性も高いです。

 もちろん早い段階で明確な将来の目標を持っているお子さんはいます。医者や弁護士になりたいという思いがあれば、自ずと文系・理系も定まってくるでしょう。しかし多感な時期に、その目標が変わらないと断言する事はできません。むしろ変わる事の方が多いでしょう。さらに言えば、そもそも高校になっても明確な将来の目標が決まっていない事も珍しくありません。

 この状態なら理系の範囲まで含めて学習をしてしまった方が間違いがありません。理系か文系かという判断の際には、数学の得意不得意がかなり大きく影響します。実際に理系の範囲を学習して判断できれば、正確な判断が行われる事も期待できます。

教材内で明確に文系・理系の区分けがされていない

 公文算数の高校課程の単元では、理系と文系ではなく、内容的に近い単元がまとめられています。そのため理系の内容を省いてしまうと、学習が中途半端になるだけではなく、文系の単元の理解を妨げてしまうリスクがあります。

 理系と文系という区分けそのものも、学問的に意味があるのか疑問を呈される事の多い所です。理解を促進する意味では、理系の範囲を省くメリットは思った程大きくないかもしれません。

中学受験をするならF教材、しないなら最終教材までの学習を目指しましょう

 今回は公文算数をどこまで学習するべきかについて解説しました。公文の学習においては学習期間が重要なファクターになってきます。学習期間の長さは中学受験の有無によって大きく左右されるので、目標もその有無で変わってきます。

 もちろんお子さんの環境によって適切な目標設定は変わってくる部分があります。今回の解説を参考に、適切な目標設定を行いましょう。

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