公文と大学受験 | 最終教材修了がもたらす大学受験へのアドバンテージ

公文 受験

  子供を公文に通わせていると、公文に通わせた結果どんな進学実績を残しているのか気になってきます。公文のゴールは最終教材(高校卒業相当)修了です。そこまでたどり着く事がすごいのは分かりますが、最終教材修了によってどの程度の進学先へ進めるのかという所は気になる部分です。

 今回は公文で良い成績を残している事が、大学受験においてどう影響していくのか説明していこうと思います。

公文のトップレベルは中2までには最終教材を終えている

 公文での上位層というものが何を指すのかというと、これは最終教材を修了する事だと言えるでしょう。全員が横並びの受験と違い、公文は順位ではなく進度が進み具合の目安となります。そして最終教材を終えられた人は公文のトップレベルであると言ってもいいでしょう。

 最終教材を終えるタイミングとしては、小学校高学年から中2あたりが一つのピークと言えます。これは高校では遅いという意味ではなく、遅くても高校受験のタイミングで公文をほとんどの子が辞める事になるという意味です。最終教材を終えるのが早い遅いという尺度ではなく、公文を辞めるまでに最終教材を終えられるかどうかという所がポイントになってくるわけです。

 だから最終教材を終えているお子さんは、相当に早い段階で高校卒業のレベルへたどり着いているという事がまずは言えると思います。

大学受験において切り札になる公文の科目は数学

 国語・英語・数学の中でも、最終教材修了の効果が最も発揮されるのは数学です。大学受験という場において、公文数学は絶大な力を発揮します。

 国語や英語ももちろん大きな力を発揮します。国語でも英語でも長文読解というのは大学受験でも目玉に据えられる部分で、公文で繰り返し行う学習がそのまま大学受験へと生きてきます。ただ読解力という点では、読書習慣が小さな時から身に付いていれば、公文に匹敵する読書量を公文なしでも得られるという部分はあります。公文国語・公文英語の最終教材修了というのは、上位戦で決め手になる力というよりも、上位戦で戦うには必須の力だと言う方が近いでしょう。 

 もちろん必須の力ですから、身に付ける事には大きな意義があります。読解力を受験勉強の中で底上げするというのは難しく、公文で早いうちから実力を伸ばしていく事は重要な意味を持っています。しかも私個人の経験で言うと、大学受験が終わった後も人生全般で大きな力になってくれているのは公文国語だという実感があります。

 しかし数学はそこに留まりません。公文数学は大学受験において大きな切り札になる可能性を秘めています。

数学の最終教材を修了していれば最上位校を狙える

 国語や英語の文章には公文以外でも触れる可能性があるのに対し、高校数学に小中の時点で触れる機会のある子はまずいません。公文を除けば、一番早いグループでも、中高一貫の進学校が高1で高校課程を終えるくらいではないでしょうか。中学のうちにこの範囲を身に付けられるというのはとんでもない強みになりえます。

 高校数学の範囲は抽象的な内容を多く含みます。そのため概念をちゃんと理解するだけでも相当な苦労が必要になります。しかし公文では概念を理解するだけではなく、反復練習で速く正確に解けるという所までを目指します。受験時の経験からして、高校数学の各単元の基本問題を速く正確に解けるというだけで、地方国公立くらいであれば十分通用する力があると思います。

 もちろん公文をやったら大学受験で数学は勉強しなくていいなんて事はありません。しかし数学の基礎が固まった状態から大学受験の勉強を始められると思えば、どれだけのアドバンテージなのか想像のつく人も多いでしょう。数学の応用問題や他の科目にたっぷり時間をかけて、東大京大や医学部へ進学する人もここまで来れば多いです。

 数学は理系ではもちろん重要ですが、文系においては勝負の分かれ目と言える重要な科目です。理系科目へ苦手意識がある人が文系になるパターンが多いですが、数学は文系受験でも受験科目に入る事が多く、点数に差の付きやすい部分になります。大学受験において最も効果が出るのは数学だと言えるでしょう。

受験時には別の対策も必要になる

 しかし公文で身に付くのは読みと計算です。試験で点数を取るためには、試験用のテクニックを身に付ける必要もあります。

 特に中学受験だとその傾向は強いでしょう。中学より先の範囲まで公文の学習を進めていたのに、中学受験の入塾テストで落ちたという話もあります。中学受験は中学側が思考力を重視するため、独特の問題が出題され、高校や大学の受験と比べてややガラパゴス化の傾向があるからです。公文でいくら基礎力が身に付いていても、受験用のテクニックを身に付けていなければ太刀打ちできません。

 高校や大学ではその傾向が弱まりますが、それでも受験する学校に向けたテクニックというものは必要になります。公文は受験そのものの準備ではなく、受験勉強本番のさらに一歩手前に位置するものだと考えた方がいいでしょう。

公文で中学受験への対応は都内では難しい

 中学受験と一口に言っても、その難易度は地域によって大きく違います。

 関東・関西共に都心の最難関校を狙うのであれば、公文で太刀打ちする事は不可能でしょう。学校ごとに独自性のある問題が出され、その独自性に対する中学受験塾の対策も高度化しています。基礎的な実力が身に付けばどうにかなる話ではなく、公文と中学受験対策はほぼ両立しません。

 いかに優秀な子と言えど、中学受験対策が始まる小4や小5までに公文の最終教材を終えるのは相当厳しいと言わざるを得ません。公文から大きなメリットを得るためには、都内で中学受験というコースを通るのは非常に難しくなります。

中学受験が盛んではない地域なら公文と中学受験が両立しうる

 一方で都心を離れ、中学受験熱がそこまで高くない地域に住んでいれば、公文で十分対応できる私立中学も多くあります。そもそも中学受験熱が高くないので、中学受験をさせるだけで「そんなに小さい時から勉強させてかわいそう」という雰囲気がある事も珍しくありません。

 一般には地方の方が私立中学の選択肢は少なく、地方は都心より不利だと感じる場面も多いかもしれません。しかし公文に限って言えば、地方には中学受験と公文の両立が可能だという大きなメリットがあります。地域のトップクラスの子が集まる環境に子供を入れつつ、公文最終教材修了という大きなアドバンテージを得るチャンスにも恵まれている。中学受験がそこまで盛んではない地域の人こそ、公文を習う事に大きなメリットがあると言えるでしょう。

子供の学習を考える上で公文は非常に重要な位置を占める

 今回は公文で良い成績を残す事が、大学受験にどう影響してくるのか説明しました。

 公文で優秀とされるのは順位よりもむしろ先の教材へ進んでいる事で、最終教材を終えていれば公文は大成功だと言えます。

 大学受験においては特に数学の効果が大きく、数学の最終教材修了は進学先のレベルへダイレクトに影響を与えます。もちろん国語と英語の効果も大きく、付け焼き刃では身に付きにくい読解力を高いレベルで身につける事ができます。

 しかし公文だけでは受験に最適化できておらず、特に都心の中学受験では公文だけでは全く通用しません。受験をするのであれば専用の対策が必要な一方で、中学受験と公文の両立もほぼ不可能です。しかし公文の真価は「四則演算を速く正確にできる事」ではなく「微分積分や因数分解を速く正確にできる事」です。早い段階で公文を辞めてしまうのはあまりにもったいないです。

 この点地方の中学受験熱が低い地域であれば、公文である程度の学校へ進む事ができます。公文を最大限活かすのであれば、私立中学が少ないというのはメリットにもなり得るわけです。

 公文というのは子供の勉強を考える上で、中心に据えて捉えるべきものかもしれません。

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