公文と言うと教室に通ってプリントを解く塾としての公文式が有名ですが、KUMONグループの中には「くもん出版」という出版社もあります。出版社からはドリル形式の問題集も販売されており、公文の塾への入会をしなくても問題集を手に入れる事ができます。
ドリルの種類はかなり多く、お子さんに必要なポイントを抑えて購入する必要があります。今回はそんな公文のドリルの中でも、国語という教科に絞ってくもん出版のラインナップを解説していきます。
くもん出版の国語教材は大きく6つに分けられる
くもん出版の国語のドリルは小学生を対象にしています。くもん出版のドリルの中には幼児向けや大人向けの教材もありますが、国語という所に絞ると対象になっているのは小学生だけです。
ほとんどの問題集には題名に対象の学年が書いてあり、今のお子さんの学年向けの問題集を買っておけば概ね間違いありません。
ドリルの中には大きく6つのカテゴリがあります。
カテゴリ | 分野 | 概要 |
---|---|---|
くもんの小学ドリル | 語彙・文法・読解 | メインの教材 |
集中学習 | 語彙・文法 | 発展した内容を扱う |
弱点補強(テーマ別学習) | 語彙・文法 | 基礎的な内容を扱う |
やり直し・先どり学習 | 語彙 | 複数の学年の漢字をまとめて学ぶ |
ロジカル国語 | 読解 | 論理的な読解力を付ける |
その他のシリーズ | 語彙 | 遊びの要素を含み、より楽しく学習できる |
それぞれの範囲は重複しているので、全ての教材をコンプリートしようとする必要はありません。お子さんの今の習熟度に合わせて、どれか一つか二つのシリーズを選べば問題ないでしょう。
教材の内容は「語彙・文法・読解」の3つに分かれています。特に語彙=ひらがな・カタカナ・漢字については多くのカテゴリで教材が出ており、お子さんのレベルに合わせて問題集を選べます。また文法については「弱点補強(テーマ別学習)」が、読解については「ロジカル国語」が手厚くカバーしています。
各カテゴリの解説
それでは各カテゴリの教材について詳細を解説していきます。引用元と解説内のURLは全てくもん出版の公式サイトです。
くもんの小学ドリル
最もオーソドックスな教材です。漢字・文法・読解の3つに加え、運筆に着目した教材があり、それぞれ学年別にドリルが販売されています。
分野 | 分野 |
---|---|
漢字 | 「○年生漢字」シリーズ |
文法 | 「○年生 言葉と文のきまり」シリーズ |
読解 | 「○年生 文章の読解」シリーズ |
運筆 | 「1年生 ひらがな・カタカナのかきかた」 |
運筆 | 「○年生 漢字の書き方」シリーズ |
各シリーズのページで「本書のねらい」が記載されておりますが、これはくもんの小学ドリル全てにおいて共通して下記のように記載されております。
「基礎からスモールステップでくり返し学習」「自分で進める→自信ややる気につながる」という一連の流れにより,基礎基本や学習習慣をしっかり身につけ,自学自習で進めることができます。
「基礎を重視・繰り返し学習・自分で進める」という特徴は公文式と共通しています。解答も公式サイトからダウンロードする事ができ、教室の先生のサポートがなくても自習を進められるよう配慮されている事が分かります。
同様に各ページで「学習内容・特徴」が記載されております。こちらは教材によって微妙に記載内容が異なりますが、共通して自学自習がしやすい工夫が施されています。フルカラー化や段階的な難易度の設定、内容の特化による演習量の確保等です。
https://www.kumonshuppan.com/gakusan/lineup-shogaku/?c2[]=38&ze=2
集中学習
「集中学習」の教材は漢字と文法の2種類があります。
分野 | タイトル |
---|---|
漢字 | 「小学○年生 漢字にぐーんと強くなる」シリーズ |
文法 | 「小学○年生 言葉と文法にぐーんと強くなる」シリーズ |
「学習のねらい」の項目には、漢字と文法でそれぞれ別の内容が記載されていますが、どちらも学習する内容をグループ化して段階的に学習を進めるという内容です。
[漢字]「学年配当漢字を,覚えやすいグループごとに学習」「筆順を見ながら,基本的な例文の中で読み書き練習できるスモールステップ」という一連の流れにより,効率的に漢字を覚え,使い分けできるようになります。
[文法]「国語の言葉と文法(言語事項)の内容を,学習要素ごとにこまかく分けて学習」「学習のポイントまとめを見て,やさしい問題から順番にスモールステップで練習」という一連の流れにより,1つの単元に集中して,効率的に学習を進めることができます。
「学習内容・特徴」は「くもんの小学ドリル」と大きな差はありません。しかし付録には違いがあります。
「くもんの小学ドリル」には「できたねシール」が付いており、学習を進めるモチベーションとしてシールを活用できます。しかし「集中学習」の教材には「できたねシール」は付いていません。
代わりに漢字の付録が充実しています。音訓や画数別の索引があり、辞書としての活用が可能だったり、漢字の使用例を掲載した「漢字の使い方ポスター」が付いています。「○年生漢字」シリーズにも漢字カードは付いていましたが、より充実した付録で漢字学習を進める事ができるでしょう。
https://www.kumonshuppan.com/gakusan/lineup-shogaku/?c2[]=48&ze=2
弱点補強(テーマ別学習)
弱点補強は漢字と文法を中心に、学年別で躓きやすいポイントを取り扱います。
学年 | タイトル |
---|---|
小1 | 「は・を・へ」のつかいかた |
小1 | かん字 まずはこれだけ |
小2 | カタカナ |
小2 | 文を書くきまり |
小2 | かん字まずはこれだけ |
小3 | 主語と述語 |
小3 | 漢字まずはこれだけ |
小4 | こそあど言葉・文をつなく言葉 |
小5 | 慣用句・ことわざ |
小6 | 敬語 |
「本書のねらい」にも学習するポイントを絞り、苦手を克服する事を目指す旨が記載されています。
つまずきやすいところをピンポイントでおさえることで理解を深めることができ,「にがてをつくらない」「にがてをできるにかえる」という一連の流れにより,自学自習で進めることができます。
「学習内容・特徴」も全教材で共通しています。学習する範囲と量を絞り、苦手意識のある範囲でも自力で進められるような工夫がされています。
特に文法系については、授業や教科書ではやや扱いが軽くなりがちな分野に対して集中的な学習を行う事ができます。公文のドリルを補助的な役割で使おうと考える時には有効な選択肢になるかもしれません。
https://www.kumonshuppan.com/gakusan/lineup-shogaku/?c3[]=131&ze=2
やり直し・先どり学習
「やり直し・先どり学習」のカテゴリでは語彙をテーマとする「いっきに極める国語」シリーズが5冊出ています。
分野 | タイトル | 学習範囲 |
---|---|---|
語彙 | いっきに極める国語1 | 小学1~3年の漢字 |
語彙 | いっきに極める国語2 | 小学4~6年の漢字 |
語彙 | いっきに極める国語3 | 小学1~3年の熟語 |
語彙 | いっきに極める国語4 | 小学4~6年の熟語 |
語彙 | いっきに極める国語5 | 小学3~6年の慣用句・ことわざ |
「いっきに極める国語」シリーズでは、他の教材と違い、学年の垣根を超えたドリルが出ています。また文法や読解は扱わず、語彙のドリルだけが出ています。
くもん出版のドリルの解説では、漢字はグループ化して覚えた方が覚えやすいという文言が度々出てきます。暗記のためには部首や意味ごとにまとめて覚えた方がいいという考え方です。そしてグループ化を行うには、ある程度まとまった数の漢字や熟語が必要です。
複数の学年を一気に扱うのも、学年をまたぐドリルが語彙系の教材しかないのもこのあたりが理由です。本家の公文では先どり学習が一つの大きな特徴として挙げられますが、ドリルの方では基本が学年別の学習で、語彙系のみ効率的に扱えるために学年をまたぐという所は一つのポイントになるかもしれません。
https://www.kumonshuppan.com/gakusan/lineup-shogaku/?c3[]=132&ze=2
ロジカル国語
ここまでは語彙や文法を扱うドリルが多かったですが、この「ロジカル国語」シリーズは読解力の向上を目的に置いたドリルです。
分野 | タイトル |
---|---|
語彙 | 「○年生 文章の読解」シリーズ |
「詳しい学習内容」という項目の中では下記のように説明されています。
子どもたちが文章読解問題に取り組むとき、なんとなく解いた問題が、その時々で、できていたり、まちがえていたりということをくり返し、「なぜそう考えたのか」の確認をせずに学習を終えてしまいがちです。しかし、印象や感覚に頼っていると、高学年に進むにつれつまずきが生じてしまうことも…。本書は、“なぜなら”問題によって、「なぜ答えがそうなるのか」、「なぜその答えを選んだのか」を、子ども自身が確かめながら取り組むことができる文章読解ドリルです。
文章を精読する習慣、解答の根拠をつかんで答える論理的思考が身につき、読解力を高めることができます。
読解問題は答案を見ても、どうしてその答えに至ったのか、本当に文章の内容を理解しているのかという点は分かりにくい部分があります。ロジカル国語シリーズのドリルではその分かりにくい部分に焦点を当てて、読解力の向上を狙ったものです。
読解力の向上というのは本家の公文国語の主要なテーマなので、公文式の得意とするジャンルでしょう。公文には事情があって入会できないという人には有効な選択肢になるでしょうし、逆に本家の公文の補完として使うのであれば他の語彙や文法のドリルを検討してみてもいいかもしれません。
https://www.kumonshuppan.com/gakusan/lineup-shogaku/?c3[]=144&ze=2
その他のシリーズ
ここまで紹介してきたドリルの他にも、公文では「その他のシリーズ」と一まとめにされたいくつかのドリルがあります。いずれも他の教材よりも楽しさに重点を置いた漢字の教材です。
カテゴリ | シリーズ名 |
---|---|
漢字 | 「パズルではじめる漢字 きほんのかん字」シリーズ |
漢字 | 「パズルではじめる漢字 かん字のことば」シリーズ |
漢字 | らくらく国語 小学1年のかん字 |
「パズルではじめる漢字」シリーズはいずれも小1から小3を対象としたドリルが出ています。各学年の配当漢字全てではなく、簡単な漢字のみを取り上げており、学習もパズルやクイズで楽しむ事を軸に置いています。
「らくらく国語 小学1年のかん字」は小1向けのドリルのみ出ております。水ペンで本に直接書き込んで学習できる事が特徴です。
どちらも遊びの要素が入ったドリルなので、苦手意識のあるお子さんや、予習の用途での使用が有効でしょう。メインのシリーズは少しハードルが高いという場合におすすめです。
くもん出版のドリルで公文式を補完しよう
今回は公文のドリルを紹介してきました。
公文式の大きな特徴として挙げられる先取り学習は、理解度に応じて先へ先へと学習を進めていける一方で、受験との兼ね合いや思考力・知識の養成という点で一定の考慮が必要なものでした。
しかしくもん出版のドリルは先取り学習の部分がほとんどなくなり、基本的な事を自学自習で反復するという部分のみを受け継いでいます。特色が薄まっている分、公文式の欠点を補う事のできる教材だと言えます。
公文式の補助やお試しとして、くもん出版のドリルは一つの選択肢になるでしょう。
https://www.kumonshuppan.com/gakusan/lineup-shogaku/?c3[]=142&ze=2
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