公文国語Fは何年生でやる教材なの?
公文の教材の進み具合については、大きく分けて2つの目安があります。
一つは教材ごとの学年の目安です。F教材は小6相当のレベルです。ただ小6から公文を始める人はあまり多くなく、小4や小5あたりでF教材を学んでいる人がボリュームゾーンの印象です。
もう一つの目安は「高進度」かどうかです。公文では3学年以上先に学習を進めている人を「高進度学習者賞」の「高進度部門」で表彰しております。小3のうちにF教材を完了するとこの表彰を受けられるので、小3より前でF教材を学習していればかなり速く学習を進められていると思っていいでしょう。
公文国語Fはどんな内容なの?
公文国語のF教材はFⅠとFⅡに分かれています。まずはFⅠの方を確認していきましょう。
>文章中の指示語が指す内容を、的確に把握する力を養います。文章中の表現(換言・例示・描写・比喩)に即して解釈できる力を養います。設問の形式に対応した解答文を作成する力を養います。小学6年配当漢字181のうち、90の新出漢字を学習し、語彙を拡充します。また、慣用句を切り口として、FⅠで学習した漢字の総復習を行います。
参照:公文式国語教材の一覧
指示語や換言、例示、描写、比喩と様々な形での言い換えを学びます。
続けてFⅡ教材です。
>DⅠ~FⅠまでに培ってきた、文章のまとまりを意識した読みの総括的学習を行います。 より大きなまとまりを意識して、文章を読み解く力を練成します。小学6年配当漢字181のうち、91の新出漢字を学習し、語彙を拡充します。また、慣用句を切り口として、FⅡで学習した漢字の総復習を行います。
参照:公文式国語教材の一覧
DからFが「文章のまとまりを捉える」という一つのテーマに沿って進んでいた事が分かります。
F教材は「文章のまとまり」というテーマのまとめ
公文ではグレード(アルファベット)での区分とは別に、複数のグレードに跨ったテーマを扱う事があります。
例えば7Aから5Aの間では音読というテーマを扱います。4Aから2Aではひらがな、AからCでは基本的な文法。DからFでは文章をまとまりで捉えるというテーマがあります。このテーマは教材を構成する一部でしかなく、並行して別の事も学習したりしますが、大きく見るとまとまった区間で一つのテーマを扱っています。
そして注目すべきは、このまとまりの後ろに行く程、そのテーマの中のマイナーな概念を扱っている事です。
4Aから2Aではひらがなを扱いますが、扱う品詞に順番があります。4Aでは名詞、3Aでは形容詞や動詞、2Aでは助詞と濁音・撥音。同じひらがなというテーマの中でも、徐々に使う頻度が少なく、難しいものを扱っている事が分かると思います。
同じようにこのF教材は、DからFで扱ってきた「文章のまとまり」の総まとめにあたる教材です。ですからDやEで扱われた題材よりも、難しいものを扱っているという事が言えるのです。
扱われる概念はD教材やE教材よりマイナー
ではF教材ではどのような概念を扱うのでしょうか。
D教材では「5W1H」や「質問と応答」という概念を扱いました。E教材で扱ったのは「登場人物の行動や気持ち」・「事実等の記述、考え・意見」・「因果関係」と言った文章の本題とも言える部分です。
そしてF教材では「指示語や換言、例示、描写、比喩」が扱われます。もちろん重要なトピックではありますが、これまでよりもマイナーな概念である事は間違いないでしょう。
これらの概念はメジャーな概念と比べ難しいものではありません。指示語である「それ」が何を指すのか判別するのは、例えば「登場人物の行動や気持ち」を読み取るよりは難しくありませんし、また重要でもないものです。だから基本的には習得のコストが高いものにはならないでしょう。
しかし例外があります。マイナーな概念にほとんど触れた機会がない場合です。
物語を読んでいれば「登場人物の行動や気持ち」を全く気にしないという事はありえないでしょう。国語の授業では先生が聞いてくるでしょうし、登場人物の気持ちを無視して物語を楽しむ事は難しいです。しかし「指示語や換言、例示、描写、比喩」に関してはその限りではありません。文中に書いてある「それ」の意味が分からなくても、ある程度文意を読み解く事はできます。
そのため場合によっては、これまで指示語・換言・例示・描写・比喩のどれかに対し、全く意識をしていなかったという事は起こり得ます。するとF教材でその概念が出てきた時に、難しいと言うよりは戸惑いに近い感覚になり、習得の障壁になる事があるでしょう。
簡単な本をしっかりと読む経験が大切
ここで重要なのは、難しい本をどんどん読み進めた経験よりも、簡単な本をしっかりと理解した経験です。
F教材で出てくる概念はマイナーなものですが、これまでに全く出てこないわけではありません。小学校低学年レベルの本であっても、描写や比喩はちゃんと存在します。
大人にとっては簡単な文章ですから、これらの表現を読み飛ばす事はありません。しかし子供、特に先取り学習を進めているお子さんにとっては、今読んでいる本は難しい内容です。概念の理解や問題への回答に精一杯で、細かい表現を必ずしもしっかりと理解しきれているとは限りません。
これは子供特有の問題ではありません。本の難易度の問題です。大人であっても、難解な文章を読む時には大意を掴むので精一杯になります。端々に込められた比喩や描写、ちょっとした言い換えに気を回す事は難しくなります。同じように、自分の理解力ギリギリの文章を読んでいるお子さんも、細かい表現にまで気は回りません。
しかし本の難易度の問題であれば、対応は難しくありません。本の難易度を下げればいいのです。
子供が簡単すぎる本を読んでいると、親としては心配になります。小学生になっても絵本を読んでいると、なんとなくもう少しちゃんとした本を読ませた方がいいと思いがちです。しかし今の学年に対して簡単な本を読む事で、余裕を持ちながらの読書ができます。するとその余力で細かい表現に気を回せたり、本のテーマについて考えてみたりする事ができます。主体的な読書ができるようになるのです。
主体的な読みができるようになれば、効果はマイナーな表現の理解に留まりません。より深い読解ができますし、本を面白く感じやすくもなります。そして簡単な本を十分に読んだと感じれば、自然と次の段階の本へ興味を持ってくれるようにもなります。そんな簡単な本を十分に読む機会というものが、F教材を突破するために重要だと思います。
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