公文国語の「縮約」って何? 「要約」との違いと公文の目指す読解力

教材 公文 国語

 公文国語ではG教材からL教材の間で「縮約」という概念を学びます。「要約」という言葉はどんな国語教材でも出てきますが、「縮約」という言葉は耳慣れないのではないでしょうか。今回は公文国語で学ぶ「縮約」という概念を整理しながら、公文がどんな力を身に付けてもらおうとしているのか理解して行こうと思います。

「縮約」と「要約」の違い

 「縮約」という言葉は公文オリジナルの言葉ではなく、一般的な用語です。辞書で意味を確認してみましょう。

 >規模を小さくして簡約なものにすること。また、そのもの。

参照:weblio辞書

 ニュアンスとしては「要約」に近いですが、一つ大きな違いがあります。「要約」は主に文章を対象とするのに対し、「縮約」は文章以外のものに対しても用いられます。

 「要約」をする時には、重要な文章を抜き出すイメージが近いでしょう。論理的に構成された文章である程、文章全体や段落ごとのテーマを書く場所というものは構成上決められているものです。その重要な文章を抜き出す事が要約であり、西洋のルールに則った論文において特に力を発揮するものです。

 一方で「縮約」は抜き出すと言うよりも「縮める」というニュアンスが強いものです。例えば画像や地図の縦横比も縮尺と呼ばれ、「縮約」もこの縮尺を小さくして文章全体をまとめるというイメージがある言葉です。

 物語文や随筆、一昔前の日本(アジア)の論文のように、西洋の論文の形式に当てはまらない文章は多くあります。こうした文章から重要な文章を抜き出す事は構造上できなくても、縮める事はできます。より幅広い文章を理解するために使える技術が「縮約」だと言えそうです。

公文国語における「縮約」

 では公文国語において「縮約」はどう扱われているでしょうか。

 「縮約」はGⅡ、HⅡ、IⅡ、J、K、Lの6つの教材で扱われます。GからIでは単一の文章を、JからLでは資料文・批評文の双方を踏まえた縮約を扱います。

 着目すべきはJ以降で複数の文章を扱っている点でしょう。受験においてはほとんどの問題が単一の文章を扱い、難易度は文章の難易度や量が左右します。しかし大学に進めば、論文というものは単一で完結する事はなく、先行研究や実験結果を参照しながら読解を行っていく事になります。

 そもそも実生活において読む文章というのは、論文程に完成されていないものがほとんどです。出版社から出ている本は多くが論文と異なる形式になっていますし、ニュースやブログはさらに崩れた文章の形を取ります。メールやチャットに至ってはさらに不完全で断片的な形を取りますが、仕事をしていればこちらの文章を読む機会の方がはるかに多いでしょう。

「縮約」でより実践的な読解力の習得を目指しましょう

 公文国語で扱われる「縮約」という概念について触れてきました。一般的な国語の学習では「要約」を扱う事が多いですが、「縮約」はより幅広い様々な種類の文章を対象にしている点で特徴があります。公文はその特徴的な方式から、真の意味で読解力が身に付くのかどうか疑問視する声もありますが、身に付けさせようとしている読解力はむしろ他の教材よりも広範囲で実用的なものを志向しています。

 その姿勢がはっきりと表れているのがこの「縮約」というテーマなのではないでしょうか。


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