公文国語Eはどんな教材? 「接続関係」の理解と「あえて語らない」物語文への対応がポイントです

教材 公文 国語

公文国語E教材は何年生くらいで学ぶの?

 公文の教材の進み具合については、大きく分けて2つの目安があります。

 一つは教材ごとの学年の目安です。E教材は小5相当のレベルのため、学習する人も小5前後の人が多いです。

 もう一つの目安は「高進度」かどうかです。公文では3学年以上先に学習を進めている人を「高進度学習者賞」の「高進度部門」で表彰しております。小2のうちにE教材を完了するとこの表彰を受けられるので、小2より前でE教材を学習していればかなり速く学習を進められていると思っていいでしょう。

公文国語Eはどんな内容なの?

 公文国語はEⅠとEⅡに分かれています。まずはEⅠの方を確認していきましょう。

 >接続語の種類と機能を学び、接続関係を意識した読解力を養成します。文章中のまとまりどうしの関係について、その典型を学び、実際の読解にいかします。小学5年配当漢字185のうち、90の新出漢字を学習し、語彙を拡充します。また同音異義を切り口として、EⅠで学習した漢字の総復習を行います。

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参照:公文式国語教材の一覧

 D教材では文章をまとまりで捉える練習をしました。EⅠ教材ではまとまりとまとまりの関係を捉える力を養います。書いてある順に出来事を理解していくだけではなく、逆説や例示など様々な接続関係を扱うようになります。

 >「登場人物の行動や気持ち」「事実等の記述、考え・意見」「因果関係」に着目し、文章中のさまざまな関係を把握する力を養います。理由説明問題に対して、適切に解答する力を養います。小学5年配当漢字185のうち、96(小6配当1字含む)の新出漢字を学習し、語彙を拡充します。また、同音異義を切り口として、EⅡで学習した漢字の総復習を行います。

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参照:公文式国語教材の一覧

 EⅠで学んだ接続関係を前提に文章を読んでいきます。国語でよくある「〇〇とあるが、なぜか。理由を述べなさい」という形式の問題もEⅡ教材から出てくるようになります。

まず押さえるべきは「接続関係」というポイント

 まず着目すべきは接続関係です。

 接続関係を理解せずに読める文章は限られます。「しかし」のような逆説や「なぜなら」「だから」のような主張と理由の関係を捉えられなければ、書いてある事を時系列にしか把握できないからです。

 E教材突破のためには、段落間に関係があり、全体で一つのメッセージを主張しているのだという事を理解する必要があります。

 この部分を理解するには、そのまま公文の教材が効果的です。接続関係を理解するのに必要最小限の情報を問題にして、反復練習で身に付けさせてくれます。

 ただ公文のE教材をクリアするために、もう一つケアしておかなければならない部分もあります。それは推薦図書の難易度です。

教材が本格的な小説になってきます

 公文では学年別に推薦図書を発表しており、国語教材の問題文も基本的には推薦図書の本から引用しております。そしてE教材のあたりから、徐々に推薦図書のラインナップに小説らしさのようなものが漂い始めます。

 「トムソーヤの冒険」や「怪人二十面相」、「注文の多い料理店」や「杉原千畝物語」。D教材まではどことなく絵本の残り香がしていた推薦図書も、E教材になるとはっきりと「小説」と言っていい作品が並びます。

 読書習慣がない人であれば、大人であってもこのあたりから読むのにハードルの高さを感じ始めるのではないかと思います。ある一定の所から、小説には語彙や文法と言った所とはまた違った敷居の高さのようなものがあるのです。より具体的に言うと、作者が分かりやすさよりも、物語の面白さや臨場感を高める事を優先し始めるのです。

 一般に物語において、物事は説明するよりも想像させる方がより読書の感情を動かすと言われています。現実でも同じですよね。ある程度好意を持っている相手であれば「君の事が気になっているから手を繋ぎたいんだけどいい?」なんて聞かれるよりも黙って手を繋がれた方がドキドキするものです。

 ただ、当然説明がない分理解も難しくなります。人混みの中で手を繋がれただけであれば、もしかしたら本当にはぐれてしまいそうだから手を取っただけなのかもしれませんし、恋愛的なニュアンスがなかったという場合だって否定できません。

 現実だったら「あれはどういう意味だったのか」なんて聞く事もできるかもしれません。しかし小説では登場人物に聞いてみる事はできません。他の部分で書かれているエピソードやセリフから、間接的にその行動の意味を探るしかないのです。こうした解釈の余地というのが小説の醍醐味であり、醍醐味を感じるには一定の慣れや訓練がいります。

「あえて語らない」物語のお作法にマンガやアニメで慣れましょう

 事実をあえて語らないという小説(物語)特有の文化に慣れるのはなかなか難しい話です。ここで有効なのは、アニメやマンガと言った視覚的な情報を含んだ物語を見る事でしょう。

 小説でも「あえて語らない」部分は多くあります。しかし小説は文字だけのメディアです。文章で語られない事は本当にどこにも語られておらず、推測するには高い読解力が必要です。

 アニメやマンガはセリフに加え、イラストという視覚情報が含まれます。だから登場人物が口で語らずとも、行動や表情から意味を推測できるのだという事が子供にも分かりやすく示されます。好きなマンガがあれば、一番の名シーンを思い浮かべてみて下さい。セリフがなかったり、非常に端的だったりするのではないでしょうか。しかし短い言葉と共に表情やシーンから、これまでの様々な経緯を含めた意味を推測する事ができます。

 ワンピースを読んだ事がある人なら、アラバスタ編を思い出して下さい。腕の✕印を見せる事で、ビビに仲間である事を示しましたよね。あれです。こういう所から物語の「あえて語らない」というお作法に慣れる事ができます。

 ドラマや映画も視覚情報が含まれるという点では変わりませんが、逆に視覚情報が多すぎます。絵よりも実写の方が情報量がはるかに多いです。すると今度は関係のない部分に注意が向いてしまうリスクがあります。好きであれば問題ないでしょうが、アニメやマンガの方が目的から見るとベターでしょう。

 公文の推薦図書にはかなり多くの物語文が含まれます。「お勉強」に力を入れるあまり娯楽を制限すると、思わぬ所で国語の伸び悩みが出てくる可能性があります。あえて理解しやすいメディアを選び、深い読みをしてもらう事で物語に馴染む事ができるでしょう。


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