公文国語Gはどんな教材? 漢字・記述・縮約という3つの変化に対応しましょう

教材 公文 国語

公文国語Gは何年生でやる教材なの?

 G教材は中1相当のレベルです。中学2年生や3年生でも、国語の苦手なお子さんがこのあたりから公文を始めるパターンはあります。基礎を改めて固めるという意味で、簡単な所からの反復練習を徹底する公文は向いているからです。

 ボリュームゾーンは小4から中1かと思います。私自身も小5付近でG教材を学習しました。小3のうちにG教材を終えられれば「高進度学習者」としてトロフィーをもらえますから、一つの目標としている人もいるでしょう。小1・小2でここまでたどり着いていれば、これは相当に優秀なお子さんだと言えるかもしれません。

公文国語Gはどんな内容なの?

 公文国語はGⅠとGⅡに分かれています。まずはGⅠの方を確認していきましょう。

 >GⅡ教材へ向けて、800字程度の長文の内容を場面ごとに大きくつかみ、話題意識を保って追跡できる読解力を養うと同時に、自力記述力を高めます。Gグレードのすいせん図書50冊や詩など多様なジャンルの作品と出合い、読書と語彙の幅を広げます。教育漢字以外の常用漢字を、関連語(広く関連性のある言葉)という観点から学習し、語彙を拡充します。

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参照:公文式国語教材の一覧

 F教材までの「まとまりで読む力」を前提に、記述力を高めるという解説がされています。

 漢字については「教育漢字」という言葉が使われていますが、これは小学校の間に学ぶ漢字の呼び方です。ですから「教育漢字以外の常用漢字」=中学校で習う漢字を扱いますという意味ですが、F教材までと違って何個の漢字を習うのかという部分は明文化されなくなりました。

 >縮約の基本スキル(原文の話題に沿ってまるごと一文にまとめること)を学びます。「話題と叙述」(何についてどう述べているか)を意識しながら文章を縮約するとともに、徐々に記述力を高めます。常用漢字の学習を通して語彙を拡充します。また、培った読解力にもとづき文法学習や高校入試レベルの文章読解を行います。

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参照:公文式国語教材の一覧

 ここから「縮約」という新たな概念が出てきます。記述力についても継続して記載があります。

公文国語Gの特徴は?

 公文のG教材には3つの特徴があります。

学習する漢字の語数の表記が消える

 まず着目すべきは漢字に関する表記です。

 これまでは例えば「小6配当漢字181のうち91を学習」とか「慣用句を切り口に小6配当漢字を総復習」という風に、該当する学年の配当漢字の数と、この教材で何文字分を学習するのかという点が明示されていました。しかしG教材以降ではこうした記載が消え、「常用漢字の学習を通して語彙を拡充」という曖昧な書き方に変わります。

 公文では「読解に必要だから漢字を学ぶ」というスタンスがあります。教材でも例文やナビが付いており、漢字を暗記しているとか、テストで書けるという所まで公文で進めるイメージはありません。むしろ「前後の文と一緒に読めばぼんやり意味が分かる」所までを目的としているような印象です。私自身も公文で漢字を習った上で、読書や漢検を通して、テストで点が取れるレベルまで漢字を覚えました。

 一学年あたりで覚えなくてはいけない漢字の数も小学校の頃と比べて中学では倍以上になり、一つ一つの漢字自体も難しさを増します。

 公文国語の漢字学習に対する評価は、お子さんが低学年である程高い傾向があります。低学年のうちは漢字に親しむ機会自体が貴重ですし、なんとなく見た事がある程度の漢字であっても、形が単純なので簡単に書けるようになるからです。しかし学年が上がれば、なんとなくで書くには意味も形も難しい漢字が増えてきます。

 学年が上がるにつれて、特に学習者自身が「公文だけでは漢字は足りない」と感じる事は増えてきます。中学1年相当まで進んだG教材まで来たら、漢字についてはプラスアルファが必要な事は頭に入れても良いかもしれません。漢検取得を目指すのは優れた手段だと思います。

記述問題の文字数が一気に増える

 記述力という点にも注目です。

 F教材までの問題には、どうしても「穴埋め」というニュアンスが強く含まれます。長文を自ら記述するのではなく、文章の内容を理解した上で、適切な部分を抜き出すような問題が多いのです。記述を行ったとしても、せいぜい10文字がいい所でした。

 この傾向がガラッと変わるのがGⅡ教材の縮約です。公文公式の教材例でも、GⅡでは「45字〜50字に縮約する」という問題が出てきます。問題の難易度がかなり上がっている事が分かると思います。

「縮約」という新たな概念が出てくる

 そして公文国語の大きな特徴である「縮約」です。

 縮約については別途取り上げた事もあります。論理的に構成された文章から的確に論点を抜き出す「要約」に対し、「縮約」はあらゆる種類の文章を縮めて捉える技術です。どちらにもメリットがありますが、「縮約」は対象とする文章の幅広さが特徴です。

 他の学習教材では「要約」を扱う事が多いですから、「縮約」は公文国語の特徴だと言っていいでしょう。そしてG教材はこの「縮約」の学習が始まる最初の教材です。

公文国語Gでは文章を書く経験が活きる

 これらの特徴を踏まえ、G教材で重要になってくるのはアウトプットの経験だと言えるでしょう。

 記述力という点ではもちろん、縮約でも作文力は必要になってきます。なぜなら公文国語の縮約では、ある程度の長さの文章を一文にまとめるという問題が出るからです。そのため一文で50字程度の文章を書く必要があり、そこそこの作文能力を求められます。

 しかしF教材までの記述問題は基本的に10字程度の穴埋めです。記述力はほとんど必要なく、G教材で一気に求められるレベルが高くなるのです。漢字に関しても、テストで点を取れるレベルで習得するためには公文教材に加え、漢検や作文でもう一段上のレベルにたどり着かなくてはなりません。

 これらの問題を一纏めに解決できるのが文章を書くという事です。文章を書く機会を頻繁に持てれば、長文を構成する機会をたくさん持つ事ができます。ぼんやり覚えているだけの漢字も、使えるレベルまで上げるチャンスを確保できます。

 書く機会を確保するのは簡単ではありません。読み聞かせと異なり、ある程度お子さん自身の自発性が必要だからです。例えば日記を書いてもらうのは有効な手段ですが、自分の子供に日記を習慣的に書いてもらう事は非常に難しいでしょう。

 書くというのは表現であり、伝える事であり、コミュニケーションの手段です。コミュニケーションを取りたいと思う相手がいれば、書く事へのモチベーションは高まります。

 2010年代であれば、SNSは良い手段でした。ツイッターやブログのようなテキストをメインとしていて、個人でも運営できるメディアに勢いがあったからです。しかし2020年頃まで来てしまうと、SNSもInstagramやYoutube、Tiktokのような音声や映像を主体としたものになっています。今の時代でテキストによってコミュニケーションを取りたいと思える機会は本当に限られています。

 プログラミング学習は一つの突破口になるかもしれません。コードを書く時に使うのは音や映像ではなくテキストなので、必然的にプログラマー間でのコミュニケーションはテキストが有力な手段になるからです。プログラミングに限らず、お子さんの好きな分野が何かあれば、とことんまで突き詰めさせてあげるのも一つの方法でしょう。お子さんが伝える側になるには、お子さん自身が何かを教えられる程何かに詳しくなくてはいけません。

 人に教えられるレベルまで好きな事にのめり込む。ここにG教材における記述量の増加を超える鍵があるのかもしれません。


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