子供が公文を嫌がる原因 | 公文を最後までずっと楽しめるお子さんはいません

公文

 

 3歳から公文を始めて1年近く経ちました。先取り学習を順調に進めてきましたが、子供が公文を嫌がるようになってしまいました。どう対応したらいいでしょうか?

 先にお伝えしておきます。公文の最終教材までずっと楽しく学習を続けられる子はいません。公文が面倒だなと思うタイミングはどの子にもあって、その時期をどう過ごすか、あるいは辞めてしまうのかという所に違いが出ます。親に求められる役割は子供の負担を減らし、公文を続けるための力になってあげる事です。

 今回は公文のモチベーションが必ずどこかで落ちてしまう原因と、親の取るべきスタンスを説明していきます。

親の予想以上に速く進んでしまう事もある

 公文は学年と関係なく、コツコツ学習を進めていけば教材を進めていけます。ある程度の期間公文を続けられて、宿題にも前向きに取り組める子であれば、今の学年を超えてどんどん先へと学習を進めていけます。

 これは公文の大きな特徴である「先取り学習」であり、理解度に応じて自力で基礎を身に付けていけます。

 公文に子供を通わせる親であれば、多かれ少なかれ先取り学習を期待している部分があるでしょう。公文は学年ごとに教材がアルファベットで分けられており、子供が進歩している事も分かりやすく感じられます。

 そしてある程度公文を続けられて、先取り学習もできている状態なら、一旦公文とお子さんの相性が良かったという事でしょう。

 しかしここで思わぬ落とし穴があります。親の予想以上に先取り学習が進んでしまう事があるのです。

環境によっては幼稚園・保育園のうちに3学年先に進む事が普通だという場合もある

 先取り学習をしてほしいなと思っている親の期待値としては、例えば「小学校入学前に足し算引き算ができたらいい。九九まで覚えたらすごい」というくらいが大多数でしょう。しかし公文がうまくいくと進み具合は想定をはるかに超えます。小学校入学前に中学レベルの教材に入ってしまいそう。まだ小学生なのに高校課程が終わってしまいそう。相性の良いお子さんであれば、公文での先取り学習はそういうレベルにまで到達する事も珍しくありません。

 そこまでの進み具合ではなくても、ある程度の期間公文を続けていれば3学年程度の先取り学習をする事は普通にあります。公文では基礎を着実に積み上げるので、驚くほど先の単元を学習する事も可能になるのです。

 するとどこかで例題を理解するのが難しい単元までたどり着く事になります。

難しい部分に差し掛かれば必ずモチベーションは落ちる

 公文は例題を見て、似たパターンの問題を解きます。考えるというよりもパターンの反復練習です。しかし単元が進むと、例題の理解そのものが難しい単元というのが出てきます。

 公文が合っているお子さんという事は、例題の理解よりも反復練習や速く正確に解く事を楽しんでいる場合が多いです。そもそも例題が理解できず、問題を解く事自体に苦労してしまえばそうした楽しみというのは感じられなくなってくるでしょう。

 そんな状況でも毎日の宿題は必ずやらなくてはいけません。1日サボれば次の日には2日分の宿題が積み上がります。この状況は公文生の多くが経験している事で、誰しも公文へのモチベーションが下がる所でしょう。

国語で先行していないと英語でも詰まってしまいやすい

 英語で先行している子は特にこうした状況へ陥りやすいです。英語の教材は読解が中心ですから、読解力自体が追いついていない場合が出てくるからです。いくら英語力があっても、日本語でも分からないような内容の文章を読む事はできません。

 また国語でも詰まる場面は出てきます。こちらも読解力の問題です。パターンを習得するには反復練習が役に立ちますが、読解力=考える力そのものを伸ばそうとすると反復練習とは全く違った苦労が必要になります。公文で読解力が身に付かないという話ではありません。今までとは違う苦労が出てくるという事です。

 一方で算数はやや詰まる危険が少ないでしょう。例題のパターンから大きく外れた問題があまり出ないからです。

低年齢だと楽しめる教材もあるが、楽しさでごまかせる期間は短い

 子供の勉強へのモチベーションが下がった時、親の頭によぎるのは「楽しく勉強させる」という事でしょう。勉強そのものがつまらないのであれば、勉強を楽しくできるような工夫のされた教材をさせればいいのではないか。これはある程度有効な考え方です。今は楽しく学習ができる教材がたくさんありますし、どんな形であれ積極的に学習が進められれば内容も身に付けやすくなります。

 しかしこの考え方には限界があります。楽しく勉強ができる教材が用意されている期間は長くないのです。

 足し算引き算であればそれこそアプリでも楽しいゲームがあります。楽しく英会話を習えたり、愉快なキャラクターが勉強を盛り上げたりしてくれる教材もたくさんあります。しかしその類の教材があるのはせいぜい中学までではないかと思います。高校の範囲の参考書を見れば、せいぜい所々にキャラクターの絵が書いてあるというのが関の山ではないでしょうか。そのくらいで勉強へ夢中になってくれる程高校生は子供ではありません。

 どこかの時期で勉強そのものを楽しむか、楽しくない勉強に取り組む術を子供は身に付けなくてはならない事になります。そして勉強そのものを楽しめる人が圧倒的少数派なのは多くの人が納得する所でしょう。

勉強を継続する力になるのは結局楽しさではなく習慣

 では楽しくない事を継続するにはどうしたらいいのでしょうか。これは習慣化というのが答えになってくるでしょう。お風呂に入ったり歯を磨いたりといった事は楽しくて夢中になれる事ではないですが、やらなければ気持ち悪いという感覚があるでしょう。勉強を同じカテゴリに入れてしまうのが継続の鍵です。

 楽しさでごまかすのは一時しのぎです。本質的に勉強への姿勢を変えるなら、習慣化が必要です。

 公文で身に付けられる主要な力の一つがまさにこの習慣化です。公文をやっていれば誰でも宿題を溜めて、大変な思いをしながら溜まった分を取り返そうとした事があるはずです。続けなければ痛い目に遭うというのを体感しているから、自然と習慣が身に付いていくのです。

 勉強する習慣を身に付けるというのは、もしかしたら基礎学力以上に今後の子供の人生の糧になってくれるものかもしれません。

慌てなくてもいずれは学ぶ事だから「焦らず続ける」が大事

 大前提として、公文では公文でしかやらないような難しい問題をそれ程扱いません。特に算数においては、学校で習う時期が来れば習うような基礎を、しっかりと身に付ける事が主眼に置かれています。

 だから今すぐ公文を先に進めなくてはいけない理由はありません。公文のストレスは学習習慣の形成に欠かせない要素ではありますが、それが耐えられないものになりそうなら、速度を落とす事をためらう必要もありません。

 一番もったいないのは途中で辞めてしまう事です。辞めてしまえば身に付きかけていた学習習慣はリセットされてしまいますし、公文で得た分のアドバンテージは時間とともに消えていきます。とにかくどんな形でも、続ける事をまずは主眼に置いて下さい。 

子供が公文を嫌がる3つの原因

 そのためにはとにかく子供の負担を減らしてあげましょう。

 最初から1日10分程度のプリント学習を嫌がる子供は少ないはずです。他の遊びと勉強の間に、子供にとっての大きな差はないからです。子供が今公文を嫌がっているとしたら、それは何かしらの理由で公文が嫌な事だと学習した結果のはずです。主に下記の3つが原因なので、適切な対応を取っていきましょう。

問題が難しくなって時間がかかるようになった

 問題が難しくなれば宿題を終わらせるのに時間がかかります。そして学習時間が30分、1時間と延びていけば子供の集中も続かなくて当然です。

 この場合は率先して子供の負担を減らしましょう。こなせるプリントの量が1枚でも2枚でも、机に向かう事そのものが大きな財産です。ほんの少しでもプリントに取り組めば十分だと言葉と態度で子供に示しましょう。先生には宿題を減らすよう交渉し、全く譲歩がないようであれば教室の変更を検討しましょう。

もっと他の遊びをしたい

 宿題の他の遊びをしたい可能性も高いです。子供は年齢が上がる程に遊びの幅も広がり、外で楽しい遊びをして帰ってくるようになります。家に帰ってからプリントしかやらせてもらえなければ、もっと楽しい事をしたいと思うかもしれません。

 できるだけ子供の遊びたい欲へ応えてあげましょう。特に男の子であれば、エネルギーが有り余っているかもしれません。身体を動かす遊びをしてエネルギーを発散できれば、頭を使う方にも興味を向けてくれるタイミングが来ます。既に公文を嫌がってしまっている場合でも、お絵かきやパズルから始めていきましょう。

 子供のパワフルさに親が付いていけないようであれば、パートナーや両親の手を借りる事も検討して下さい。特にあなたが母の立場であれば、夫は思った以上に子供を楽しませる術を持っているかもしれません。

先生との相性があまり良くない

 先生も人間です。公文が順調に進んでいればその子は期待されますし、やる気を見せてくれなければイライラするでしょう。教室から高進度の生徒が出て欲しいという気持ちもあるはずです。子供に良い影響を与えてくれない先生というのはいてほしくないものですが、全国で15,000を超える教室の全ての先生が理想的な先生だと考えるのは非現実的でしょう。

 親自身が他の教室もあるという事をまずは認識しましょう。子供に「どんなに嫌でもここから逃げる事はできない」という考えを与えてはいけません。公文が嫌だと言う子供の気持ちに、学習よりも先生が嫌だという思いが含まれていないか観察しましょう。

 同じ能力を持った人が同じ仕事をしていても、環境によって全く発揮できるパフォーマンスが変わるというのは別に勉強に限った話ではありません。適切な環境を用意してあげる責任は、子供が小さい時には親にあります。

最終教材まで進む事で青春時代の「本当に大切な事」へ時間を回せる

 公文を続けていけば、親の予想以上に先取り学習が進んでいく事は珍しくありません。そして難易度が上がると、だんだん子供の負担が増え、公文を嫌がるようになる事があります。

 嫌がる気持ちが強い程に、モチベーションを取り戻すのは大変になります。まずはできるだけ早い段階で子供の気持ちの変化に気づき、原因に応じて対策を打っていきましょう。

 無理をせずに辞めさせてしまうというのはもちろん選択肢の一つですが、公文で得られるものの多くは継続によって生まれます。速度を落としてでも継続の道を親が探ってあげるべきでしょう。

 公文を継続できれば英語・算数・国語の基礎を早い段階で習得できます。子供が本当に忙しくなってくるのは中学や高校です。先取り学習と学習習慣は、青春を賭けて何かに打ち込み、本当に大切なものを身に付けるための余裕を子供に与えてくれるでしょう。

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