公文は国語・英語・算数を主要な教科としています。しかし各教科の月謝は一教科7000円以上と決して安くはなく、複数の教科を学ぶ事による割引もありません。自宅学習の負担も大きく、三教科全ての学習が難しいケースは珍しくありません。
すると次に出てくる論点は「どの教科を選ぶか」になってくるでしょう。
特に難しいのが一教科だけを選ぶ場合です。国語・英語・算数にはそれぞれに重要な理由があり、一つだけを選ぶというのは難しい選択になります。しかし家庭やお子さんの状況から、一教科を選ばなければならない場面は存在します。
今回はその中でも国語だけを選んだ場合どうなるのか解説していこうと思います。
重要度は公文の中でも高い
教科を一つだけに絞る時、まず気になるのは「どの教科が一番大切か」という点でしょう。せっかく一教科だけでも続けるのですから、より効果の高い教科を選びたいというのが自然な考え方です。
そして重要度という点では、他の二教科と比べても国語は高いです。英語にしても算数にしても、伸ばすためには一定の国語力が必要だからです。第二言語の能力は母語以上に伸びないというのは通説ですし、公文では計算力が伸びても、複雑な出題を読み解く力は訓練しません。一方で算数や英語ができないと国語力が伸びないという事はありませんから、重要度としては国語が頭一つ抜けていると言えるでしょう。
教科のボリュームもある
国語は他の二教科と比べ教科のボリュームも大きく、全体では1.5倍近くの教材量があります。
公文の教科を減らす時、状況が落ち着いたらもう一度教科数を元に戻そうと考えるパターンもあると思います。この時教科数の多い国語を続けておけば、再開後に遅れを取り戻すのが比較的楽になります。しかし教科数の多い国語を中断してしまえば、再開後も続けていた教科との差はなかなか縮まりません。せっかく再開してもモチベーションが上がらないという事が考えられます。
再開を視野に入れている場合は、国語を続けておいた方が再開後の成功に繋がりやすいでしょう。
算数や英語と比べて他の教材が弱い
もう一つ、他の教科と比べた時に考えるべき事があります。公文以外の教材の存在です。
例えば公文の教科数を絞りたい理由が費用であれば、より安価な教材を利用するという事が考えられます。すると代わりになる教材の良し悪しというのは無視できない判断材料になってきます。
そして英語と算数については、公文以外にも優れた教材が出てきています。
英語は公文にはない特徴を持った学習方法がたくさんあります。公文の英語は読み書きを重視しますが、実際に英会話をする機会はないので、いわゆる「生きた英語」を習得するには不足があります。英会話教室であればネイティブの先生と会話ができますし、オンラインでの授業も可能です。自宅学習の負担や費用を減らした選択肢はいくつも検討できます。算数もタブレットで学年によらず学習を進められる教材はいくつか出ています。
しかし国語に関しては公文と同系統の教材はあまり見当たりません。漢字のような知識系を軸にしていたり、小学校レベルまでが対象だったりするものはあっても、読解力の向上という点を考えるとあまり有効なソリューションはないように思えます。
公文の代わりを探そうという考えがあるのであれば、算数や英語の方が代わりが見つかりやすいでしょう。
効果が目に見えにくい
ここまでで国語を続けるべき理由を話しました。ただし先を考えた時に、国語を続けるのが難しくなる要因もあります。それは公文国語の効果が目に見えにくいという点です。
公文の英語と算数は、ある程度早い段階で分かりやすい効果が出てきます。算数であれば基礎的な計算の速さが身に付き、周りの子からすぐに抜きん出る事ができます。英語は英検と相性が良く、資格取得は分かりやすいモチベーションになります。
しかし国語の読解力というのは目に見えにくい能力です。漢検取得には一定の効果はありますが、教材のメインは読解問題なので、思った程スムーズに級を上げていく事ができません。
またA教材からI教材の間で、一つアルファベットを進めるために400枚のプリントを解く必要があるというのもネックでしょう。算数では全アルファベットが200枚、英語もF教材までは200枚で次に進めるので、先取り学習という意味でもなかなか目立つ成果が出にくいでしょう。
公文に限らず、何かを続ける最大のモチベーションは成果が出る事です。公文国語は成果を得るためのコストが高いという点は考慮に入れる必要があります。
「国語だけ」は賢い選択肢
今回は公文を国語だけ学ぶ場合に考慮すべき事柄を説明しました。重要性・ボリューム・代わりの教材の存在という三つの観点から見て、公文をどれか一教科だけ学ぶとしたら国語は良い選択肢だと言えます。一方で成果が目に見えにくく、続ける難しさというのもまた確実にあります。
理屈で考えれば良い選択肢ですが、モチベーションの面では難しさがある。その意味で「国語だけ」という選択肢は賢い選択肢だと思います。ただ賢い選択肢を選び、やり切るというのは時にかなりの困難を伴います。理屈通りに物事が運ばないというのは、子育てをされている方なら誰でも肌身に染みているはずです。
国語を選ぶのがベターだという事を念頭に置きつつも、どんな形なら続けられるのか、家庭に合った形を優先するというのが望ましいスタンスでしょう。