公文は幼児から大人までいつでも始められますが、よく話題になるのは幼児と小学生です。中学生で続けている人はぐっと減り、高校生ともなればほとんど話を聞きません。
しかし高校生で公文をやるのは意外と面白いチャレンジではないかと思っています。今回は高校生で公文をやる際のポイントを説明していきます。
ほとんどの人は公文を中学までに辞める
まず前提として、ほとんどの人は公文を中学までに辞めます。公文が小さな子向けの教材だからではありません。受験や部活で忙しくなり、公文の継続が困難になるからです。
教室に通ってみると、中学生以上のお子さんの比率は低い事が多いでしょう。高校生で公文を続けている人は珍しいと言えます。
しかし高校生で公文を始める・続ける事ができていれば、いくつかのメリットを得られます。
公文は高校範囲の終了を目指す教材である
まず挙げられるのは、公文が高校の範囲が終わるまでを目指す教材であるという点でしょう。
どんな塾であっても目的があり、目的を塾生が達成できるようにあらゆる部分が最適化されています。受験塾であれば受験で合格点を取るために、勉強だけではなく、受験校に関するあらゆるデータを調査し、塾生ができるだけ偏差値の高い学校へ入学できるよう工夫されています。特定の学校に入るための塾もあれば、特定の教科に特化した塾もありますが、いずれも目的を達成するという一点に強みがあります。
では公文がどのような点に特化しているのかと言うと、それが高校課程の終了と言うわけです。
例えば公文は受験における応用問題を扱いません。学校向けの学習過程を終える事に目的があるので、教科書を逸脱した難易度の問題を出題しないのです。また図形問題が出てこない事も知られていますが、それは高校数学が代数計算を扱うためです。高校数学を効率的にマスターするために、図形問題は寄り道になってしまうのです。
こうした特徴は、お子さんの年齢によっては問題になります。小学生であれば、図形問題を扱わないというのはテストの点数に直結するでしょう。
しかし高校生であればこれは問題にはなりません。今まさに学習している部分の基礎を効率的に習得できるのが公文なのです。
「今さら」な基礎も固められる
そして公文での学習は、現状どれだけ勉強ができなくても開始できます。
公文は「無学年学習」という形式を採用しています。今の学年とは関係なく、理解度に応じてどこから学習を始めるかが決まります。小学生でも高校レベルの問題を解く場合がありますし、高校生が小学生レベルの問題を解くという事ももちろんありえます。
高校生であっても、中学レベルの基礎が曖昧というのは珍しくない状態です。特に国語は他の教科と比べ、どのくらいの実力があるのかはっきりしにくい教科です。しっかりとした読解力が付いていなくても、案外30点や40点は取れてしまい危機感が湧かない。点数を伸ばそうとしても何をしたらいいのか分からない、なんてゆでガエル状態になってしまいやすい教科でもあります。
しかし公文であれば読解力について明快なレベル分けがされ、基本的な部分を習得できます。現状の本当の読解力に基づき、仮に遅れがあっても取り戻す事のできる教材だと言えるでしょう。
先取り学習で先行組を追える
ここまでは遅れを取り戻せるという観点でお話ししましたが、上を狙う時にもメリットがあります。公文は「無学年学習」だと説明しました。今の学年より手前の段階の学習をできるわけですが、逆に今の学年からどんどん先へ進んでいく事もできるのです。
公文の国語では古文や漢文も扱います。知識面では受験対策に十分とは言えませんが、読解力向上や、作品の前提知識を得るという点で基礎を形作ってくれます。また現代文の読解では最難関校と比べても遜色ないレベルの文章を扱います。大学受験に必要なテクニックを身に付ける事は公文ではできませんが、その前段階の基礎は非常に高いレベルで身に付ける事が可能です。
実際の学年より先に学習を進めるのは、東大合格者数を多数排出するような高校では基本的な手法です。高校一年あたりで高校の学習過程を全て終え、残りの期間を受験対策に充てるというのが定石になっています。東大理三の半数以上の合格者を排出する「鉄緑会」では中3には高校の英語・数学の基礎が完了しますし、中学受験で中高一貫校が人気である一因は、高校受験の期間を先取り学習に充てられるという所です。
それなりの努力は必要ですが、公文でも同様に先取り学習を進めていける可能性はあります。
最終教材が最初から見えている
そして小中学生と比べ、高校生は公文のモチベーションを高く持ちやすいです。なぜなら始めた時からゴールがある程度見えているからです。
例えば公文を小1レベルのAⅠ教材から始めたとしましょう。最終教材まで学習を進めるにはあと24段階学習を進めなければなりません。一つの段階には200枚のプリントがありますから、進めなければならないプリントは4800枚です。しかも公文では反復が基本なので、同じプリントを3回、4回と解く事も珍しくありません。とてもではありませんが、ゴールが見えている状態ではありません。
先行きが見えない中で毎日の宿題をこなすというのは、お世辞にも楽しいものではありません。ですから小中学生がモチベーションの高い状態で学習を進められる事は少ないでしょう。
しかし高校一年相当のJ教材から学習を始めれば、残るのは6段階だけです。6段階進むのももちろん簡単ではありませんが、少なくともゴールを目指して頑張ろうと思える量なのではないでしょうか。
このモチベーションという点において、高校生で公文ができるというのは大きなアドバンテージです。
親にかかる負担が劇的に少ない
高校生で公文をやるという事には、親側にもメリットがあります。親にかかる負担が少ないのです。負担と言っても費用面ではなく、精神的な部分です。
当たり前ではありますが、高校生よりも小学生の方が精神状態が幼いです。そのため毎日宿題を自分の意志で続けてもらう事は難しく、都度声をかけながら宿題の進み具合を確認する必要があります。前日の夜になっても手付かずの状態だったり、お子さんが「もうやった」と嘘を付いたりする話も聞きますから、ケンカの火種にもなりますし、精神的に消耗する部分があります。
小学校への就学前であればもっと大変です。机に長く向かう事も難しい年齢ですし、教材を解く時はつきっきりで面倒を見なければなりません。教室への送迎も必要ですから、一日の過ごし方にも影響が出てきます。
その点高校生はある程度は自力で宿題をやってくれますし、教室には自分の足で通ってくれます。公文を無理やり始めさせる事は難しい年齢でも、勉強をする必要性というのは何かしらの形で感じてくれているでしょう。さすがに大学入学後まで公文は続けませんから、期間が限られている分、心理的にも家計的にも目処が立ちやすい部分もあります。
小さなお子さんと比べ、高校生の公文は親はかなり楽ができるはずです。
大学受験は中学受験より基礎重視
公文は受験のテクニックや応用問題を扱いません。基礎を固める学習塾です。そして大学受験では、中学受験と比べて基礎が重視されます。
中学受験をする人は、大学受験をする人よりはるかに少ないです。教育意識の高い親が、中学受験塾で三年間みっちりお子さんを勉強させて挑むのが基本です。ですから学業面で優秀なお子さんばかりが集まるのに、中学以降の範囲は出題できません。こうなると基礎ができている人の割合が相対的に増え、応用力や思考力が勝負所になってきます。
これに対し大学受験は中学受験と比べ裾野が広いです。大学全入時代ですから、高校の三年間を受験に捧げるような人は少数派です。しかも学習範囲は学年が上がれば指数関数的に増加していきます。こうなると中学受験と比べ、基礎ができているだけで上位層に入れるのは自然な事でしょう。
基礎の比重が高いという事は、公文と相性が良いという事です。大学受験と公文は意外と相性の良い組み合わせだという事が言えます。
高校生の公文は意外とメリットが多い
今回は高校生の公文を取り上げました。高校生で公文をやっている人は少ないですが、公文はむしろ高校課程に強みがあります。特に国語は小学校・中学校レベルの教材の量が多いので、相対的に高校での学習量は限られ、最終教材修了を目指しやすくなります。
メジャーな選択肢ではない事もたしかですが、一考の価値がある選択肢ではないかと思います。
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